2008年08月15日

祈り

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過日、HYT3(ピースピットハーフイヤーシアター3)の公演のとき

應典院のご住職からお聞きしたおはなし。


ご住職はよく、ホスピスに慰問されるそうだ。

そこでは、ただただ患者さんと話をするだけです。

治療の終了した患者(余命6ヶ月以内)を対象とし、

がんの苦痛や症状を和らげ、不安な心のケアをする医療施設。


ある日、患者さんが言ったそうです。

『私は今まで、“祈る”という行為は自分のためにするのだと思っていました。

でもそれはちがうな…と思ったのです。』


ご住職は一瞬、えっ?と思ったそうです。



『“祈る”というのは、だれかのためにすることだと思います。』


数多く患者さんと話をしてきたご住職も、つい涙が出そうになったそうです。



それはたとえば、

墜落していく飛行機の中で、家族にメモを残すことであり

地震で崩れた建物の下、傷だらけの手で携帯電話を握りしめることであり



すべてを達観した最期に出来ることは、

自分ではなくだれかのために“思う”ことなのかもしれない。



そこにほんの少し、人として生まれて良かったと思う。



僕は個人的には無宗教なのだけど、

“思い”を“祈り”捧げることなら、わかる気がしたんだ。




道で蝶が死んでた。

うわ。可哀相だと思ったけど、

人の一生も、人が行き交う路上と同じようなものかもしれない。

僕もいつか倒れる。いつかその時は来るから。

そのときは、

すごいスピードで歩き続けなければばらないだれかの幸せを…

自分がたいせつに思うすべての人たちを思うのだろうか。




天国ってあるのかね…そうとう高いトコにありそうだ。



路上で死んだこの蝶も、羽を広げて死んでいた。




posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 16:49| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月06日

黒いバターと小さな空

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おそらく。

最近の気温って、大阪も東京もそう変わらないはずだ。

けど。

東京の冬は、色が重い…気がする。


もちろん街には。電光のあらゆる色や

うんざりするほどの雑音が

連続花火みたいに飛び交って、

それはそれは鮮やか…というか

カラダに悪そうなアメに似た異常彩色なんだけど。



人が黒い。


冬に着る服はなぜ黒が多いんだろうね…。

全国どこに居ても気にならないことが

ここでは気になってくる。

人の数がちがう。


今乗ろうとしてる電車も、次の電車も

その次の電車にも人がいっぱい乗っているここで。

黒い服を着た人たち。


眠る。ヘッドフォンで音楽を聴く。本を読む。

みんな他人を避けている。

車内アナウンスと、走行音をのぞけば

クローゼットの中に居るような静けさ。


どこか現実味がない。

そう言えば。

僕も黒い服を着てた。



ここでは。

人工のもののほとんどが、極彩色を放っているここでは、

造られた“物”にだけ、パーソナリティがあるのかもしれない

その方が安全なのかもしれない。


ここでは。

人そのものが“影”かもしれない。


街にある、本当の影にも人が横たわっているけど。





むかしむかし、あるところに、


ちびくろサンボという黒人の少年がいました。
 
お母さんはマンボ、お父さんはジャンボという名前です。

家族3人で、とても仲良く暮らしていました。

サンボ少年は、ジャングルで虎に襲われるたびに、

両親からもらった

鮮やかな色の、上着、ズボン、靴、カサを差し出して

食べられずにすみました。

4頭の虎に出くわした少年はハダカになってしまいました。


それぞれの虎たちが去り際に決まって言ったのは


「俺様がこのジャングルで一番偉いんだ」


その4頭の虎たちはある日、ケンカをはじめました。


「俺が一番偉いんだ!」


サンボ少年が隠れて登ったヤシの木の下で

たがいのしっぽに噛み付いたまま、

相手を食べてしまおうと追いかけます。

それぞれの虎が、前の虎のしっぽに噛み付いたのですから

ヤシの木の下で虎の輪ができあがり、

ぐるぐるまわり始めました。

あまりに高速なその虎の輪は

やがて、溶けてバターになってしまいました。


サンボの家族は、そのバターでホットケーキを

たらふく食べましたとさ。



…一時、発禁になった“ちびくろサンボ”の話。




黒いバターになる前に。

僕は僕でありつづけなければならない。

身体半分が溶けて落ちたとしても

僕は空に手をのばしてやる。

小さな空に。



新宿だって早朝は空気が透き通ってる。

夜に隠れてた影にも陽が差し込んでくる。




僕の片手がはっきりと見える。






posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 05:10| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

Swallowtail butterfly

swatailbfy.jpg



何回か病院に行ってると、

することがなくなってくる。

あと…。女性ばかりの病室だからかなぁ。

なんだか居づらい。

少し休憩。タバコを理由に外へ逃げ出した。



大きな中庭は、屋外でも禁煙。


病院の敷地を出ると国道が走ってて、車も多いけど

歩道に沿って植込みがあり、騒々しさもマシに感じる。

かだんのようにレンガが組んであったので、

ベンチがわりに座った。


風、強いなぁ…ここ。



タバコを吸いながらふと、前にあるお店を見る。

菓子パンとか、見舞い用の果物とか置いてる、

2階には店の人が住んでそうな、こじんまりした店。

入り口の横の壁には、育ちすぎた観葉植物の植木鉢が

適当に並べられてて。



アゲハ蝶…?


ひさしぶりに見た。

並んでいる鉢に、近づいて…離れてヒラヒラ。

風におされて大変そう。なかなかうまくとまれない。


あれ?

ちがうか。とまろうとしてない。

花を探してるのか…。

どうやら腹が減ってるらしい。




煙は、吐き出してすぐ風に消えていく。



しばらく見てた。

…なんかちょっとせつない。


今、必死なアゲハより、僕には見えてしまう。

並んでいる植木鉢のどれにも、花などない。

20mと離れてない、病院の敷地内には

咲いているのに。



目の前だけを見てると見つからないモノがある。

ちょっと離れて見たら、

実はすぐそばにあるものかもしれない。


教えたくてもアゲハには、言葉も気持ちも通じない。




でも空飛べるよな…蝶は。

言葉を話すことと飛ぶこと、どちらか選べと言われて

蝶は飛ぶことを選んだのかね。



…とか、どうでもいい妄想をする。



考え悩むアタマを持ち、

いたわり合うことも、傷つけ合うことも出来る

言葉を持つことよりは

羽を持ってる方がいいかもしれない。


ややこしいことなしでさ。


会いたくなったら会いたい人に、

行きたいトコに行きたい時に、

市内だって、西宮だって、枚方だって…

わりと体力的に行けそうな場所が浮かぶ自分がおかしい。

もちろん蝶としての体力でね。なんだそれ。


色んなモノを下に見ながら、飛ぶだけ。


風の上でパタパタやればいい。


花蜜をさがしてるアゲハの

ちょっと前を飛んで

しらじらしく花のある場所を教えてやろうか。





タバコを消して立ち上がった時

僕が全身に受けた風で

アゲハも大きく押されて舞った。



たぶん僕とアゲハは

同じ瞬間、


風が来た方向を見たはずだ。





さぁ、

一緒に来い。





posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 04:50| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

怪人坂の少女と、少女館の怪人

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『逆上がり』みたいなもんだと思う…



少し前に、大事な人にメールで話したことがある。

そのときはふと例えただけだったけど。


子供のころ、なぜか強制的にやらされるんだよな。

今なら、出来なくてもいいんじゃないのと思ってしまう…。

クラスのほとんどの奴が出来ていくにつれて

かなり落ち込んでた子もいた気がする。

僕もイキナリは出来なかったはずで。

放課後?か。夕暮れくらいの時間に

突然出来た気がする。風景の色がオレンジっぽかった。


不思議なんだよね。

突然、できるんだよ。

さんざん練習してできなかったのに。

次の日とかに、あれ?出来た!…ってかんじでね。


強制されたのはイヤだったけど、

“逆上がり”は、

仕方なくふっかかってくる色んな事から

抜け出せた時のシンプルな爽快感と

自分と闘って得た克服感を教えてくれた。


べつに人生論…ってモンまでいかないよ。

ただいっぱい制約があるのがこの社会で。

自分に対してさえモヤモヤするのが人の気持ちで。


結局ここに居る以上、僕らは生きている間に

何度か“逆上がり”をすることになるんだろう。



パノラマ党「怪人坂の少女と、少女館の怪人」

の公演が終わった。

パノラマ党には2度目の参加です。

僕はここの作品世界が好きだ。


詳しくは書けないけど

人と社会の裏側を、恐ろしいほどの情報量を、

見ざるをえないTVマンである、主催の前西氏のチームが

伝えたいメッセージを、演劇という生モノで表現する場所。

華やかさと虚構をもって、実は人のリアルな横顔を見せる

そんな世界かな。とか僕は思います。勝手な印象ですよっ。


よく“可愛い女の子がいっぱい出てるね。”

と知人に言われたりするし、唄ったり踊ったりするし

もちろんルックスの良い女優陣は芝居の華だけど、

物語の中では、一人の人間ってのは男女を問わず、

こういう壊れそうな華奢な存在なんだなって思う。



いつだっけか、前西さんと飲んでた時に教えてもらった話。

なぜか希望って言葉の話になって。

『“希望”って、いいイメージあるでしょ?でも

希望の“希”の字は“うすい”って意味ですよ』

え?じゃあパンドラの匣(はこ)に残ったのは、

うすい望みですかと僕が聞くと

『ギリシャ神話では、最後に残ったものは、

“未来を全て分かってしまうこと”言ってみれば絶望で、

それを知らずにいることが出来たから、

人類は希望だけは失わずにすんだと言われてるんです』


未来を知らないから

僕らは悩んだり、葛藤するけど

そこで希望と可能性を持てるワケで。



今回のお芝居は何度か“坂を上がる”“逆上がり”

というセリフが出て来ました。

僕にはそれが“希望”ということばにかぶってきます。

何度もがんばって出来ないことが

これからでも、明日にもあるだろうけど

その時、イ〜っとなって投げ出しても、

しばらくしてからでもいいから、

また公園に行って逆上がりをしてみよう。

かつてそうしたように。


くるっと回って鉄棒の上に身体が上がったときの


その景色を思い出したい。






すべてのお客様へ。本当にありがとうございました。


僕が忘れそうになる気持ちを思い出させてくれる、

そんな世界に参加させて下さった、

とんがった兄貴、前西和成氏。

作家の村田元氏。

キャスト&スタッフ&ボランティアの皆様すべて。

本当にありがとうございました。


Special thanks

同じ日程でインディペンデントシアター1stに

出演されてて多忙の中、振付してくださった

石原正一さん(石原正一ショー)や、

声の出演された西田政彦さん(遊気舎)が

お疲れなのに打ち上げに来て下さって嬉しかったです。
posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 19:18| 大阪 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月09日

ソラノウエカラ

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母の手術が終わった。


手術室から直結する、小さな窓から

担当医師が顔を出して言った。


広さと言えば、一畳くらいの真っ白な接見室は

僕らにとってはイヤな場所だった。

呼び出された時間が、思いのほか早かったので

あのときのように

何かイヤなことを聞くのかと。



問題なく終了したことを伝えにきた医者は、

一通りの定番らしき説明をして去った。

もちろん、手術が終わっただけで

すべてが治ったワケじゃないけど、

過去に大きな手術をした母が、

再び強く気持ちを持ってくれた事が嬉しかった。



僕は高い空の上から

容赦なく母に苦痛をもたらす、

得体の知れない

神だったり、運命だったりを恨んでる。





でも忘れていた。

高い空には、彼等以外にも居たことを。



親父が居た。





…実は気付いてたけど

こじつけて考えないようにしてた事がある。



病院が指定した、

母の手術をしたその日は、


亡き親父の誕生日。



高い空にいて、

言葉でもなく、しぐさでもなく、


『ソバニ イルカラ』


という意思表示をした親父。





カタチのない、愛情を初めて見た。




そういうの、少し信じたくなった。



そういう…ね。


posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 07:14| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月21日

メロンシロップ

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僕が子供の頃だ。3歳とか4歳とか。

そんな小さな頃の、

唯一の夏の鮮明な記憶。

ある日、『かき氷マシン』が家に来た。

親父が誰かから貰ったんだっけかな…。


マシンと言っても、手でレバーをくるくるまわすと

氷がゴシゴシけずられるだけのもの。


僕は母に連れられ、

市場にかき氷用のシロップを買いに行った。

うれしかった。家でかき氷が作れるなんて。


母は『あんたの好きなヤツにしぃ』と言った。

僕が選んだのはスゴい緑色の“メロンシロップ”


僕はあまりにも嬉しそうにしていたのだろう。

酒屋のおじさんは、メロンシロップを

僕にそのまま持たせてくれた。


そして僕は、

早く家に帰りたくて走り出してしまった。

メロンシロップを見ていたから?か

店の出口にある段差に気がつかなかった。

僕はふっとんだ。

メロンシロップの瓶が僕より先に大破し、

その割れたガラスと、緑のシロップの上に僕は転がった。

腕が血だらけになった。

僕はケガしたことよりも、

せっかくのメロンシロップが台無しになった事に

ショックで、喋れなかった。

タオルを渡された気がする。


大人の会話は聞こえなかったが、

酒屋さんは新しいのを一本くれた。

酒屋のおじさんがすごくいい人に思えた。

今度は母に渡していた。

母はしきりにお礼を言っていた。


その日の晩、僕はひじを数針縫った。

かき氷の味は憶えていない。


ただ…。

いつも口うるさかった母がその日だけ、

僕に怒らなかったことだけは憶えている。



僕のひじにはまだ、縫ったあとが残ってる。




何かあったとき、なんでもかんでも

神が与えたもうた“試練”…だとか言う奴が信じられない。

運命とか? 冗談のつもりか、それ。

どうしようもない事があった時、

高い空の上から

操作されてるみたいに言うなよ。

操作出来る奴がいるなら、

もっと真面目にやれよ。それが神でも運命でも。

もっとちゃんと人を見ろよ。

母をこれ以上傷つけるのはやめてくれ。

やさしい人なんだ。人気者でね。

たくさんの人に好かれてる。

人の価値を見極めてくれ。

あと20年くらいふつうに生きれるだろ。

やっと、数年前の手術と心の傷も癒えたのに。

親父が死んだ悲しみも越えかけてたはずなのに。


…乳癌なんて。

ステージ2。初期でも末期でもない。

なぜまたメスを入れなきゃなんないんだ。

風呂に入る時、いつも前の手術跡を見てるはずなんだ。




高い空の上に、もし本当に誰かいるなら、


どうせなら、俺を殺してくれないか。

ろくでもない人間だけど、

母の数年の健康分、代償くらいにはなるだろう。

今まで迷惑かけてきたんだ。いいから。


だから

母にはもう一度、微笑んでやってくれないか。






今住んでいるところのすぐ近くにある

老夫婦がやってる小さな店で。

何年ぶりだろう、かき氷を買った。

「シロップ何にする?お兄ちゃん」



すぐに声が出なかった。




posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 22:39| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月07日

スパークル

hbsiro.jpg



僕の住んでるトコの屋上からは、

淀川花火が見える。

花火大会の日は、どこからともなく家族連れや、

カップルなんかが上がってきて、たぶん住人以外も。

レジャーシートひいて、お弁当なんか持って来て

ゆ〜ったり、観覧してる。


涼しいしね。

今年は2組がグレードアップしてて、

アウトドア用のテーブルに、ワインや、料理やキャンドル…

何時からセッティングしてたんでしょ?この人たちは。



ビール2本とタバコ。…をカーゴパンツにつっこんで、

僕は屋上フロアの奥に立つ給水塔によじ登った。

ジャンプして入り口の屋根につかまり、

さらにケンスイしないと登れないので

他の人は来ません。

(ホントは上がっちゃダメなんだけどね)



実は今日の花火、#10のメンバーに誘われてた。

集合が早かったのと。人ゴミが苦手で…淀川スゴいから。

あと…。屋上花火にはちょっとした思いも。



どーーーーーーっん!

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バラバラバラ…


報道?警備?なのか、ヘリコプターが巡回してる。

爆発音とヘリ音。ランボーの世界です。

前にイラクの夜の空爆映像もニュースでやってたな。

照明弾のすごい光とか。似てるかも。



圧倒的な音や光は、本当は動物は怖がるもんだ。

花火を見てどきどきするのは、

その圧力をどこかで感じてるからかもしれない。

せまってくるような“美しさ”だってね。


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花火はよく人生観?からSEXまで

例え話にでてくるけど、

観てる瞬間には自覚なんてないまま

実は好きなように、想いを重ね合わせて…


次の、また次の爆発を待つ。



ふだん胸の中に持つ、圧縮された火薬は

空に打ち上げられ、爆音とともにふっとばされる。


ふだん出せなくて、見せなくて、言えないことも一緒に。




爆裂、降下、閃光花火。

衝動、葛藤、限界破裂。

波動、振動、鼓動が打つもの。

空間群青、衝撃波。




僕は。

爽快なんだろうか。

哀しいんだろうか。


hbao.jpg



さまざまな放射模様を作ったあとの火花は  

夜空の途中で消えた。



大量の火薬を包んでいたカタい殻が

粉々になり、

ふたたび闇に墜ちていったところは



誰にも見えない。





posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 03:53| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

冷たい水

mizuba2.jpg



日曜日、近所の小学校に行った。

ひさびさに選挙へ。

どこの誰を支持する…という話じゃなく、

意思表示はしておかないとね。




子供が侵入者によって惨殺された事件以降、

オトナとして小学校に入ることって、少しどきどきする。

今は夏休みだから生徒はいないんだけど。



誘導の貼り紙を見て廊下を歩く


この小学校は校舎がコの字になってて、中庭があった。

小さな池もあり、豪華だね…鯉が居る。

母親と小さな子供が二人、池を眺めてる。



…と。キツい香水の匂いがして顔をあげた。
 
20歳そこそこの、思いっきりヤンキー?風の女の子が

僕の横を通り過ぎた。彼女は帰るとこだろう。


薄い色のサングラスに、おっぱい半分くらい見えてる服。

ちょっとうれしい。

おっぱいが…ではなく。こういうコも選挙に来る事に。

おわ。あまりにもベタな世間並みの偏見。反省。



中庭に沿って、水道の蛇口が並んでる。

蛇口は上を向いたり、横を向いたり。



投票は体育館(兼講堂)でやっていた。

木の色で満たされた空間は気持ちいい。

少し床ワックスの匂い。

バスケのコートが2つ。ゴールリング見てわくわくする。



なぜか…

生まれても育ってもない土地の、この学校がなつかしい。



『だれや、日直っ!黒板消せ!』

『女子は教室、男子は廊下で着替えろ!』

『しゃあないから、席くっつけて教科書見せてもらえ』

『虫が出たくらいで、ギャアギャア騒ぐなっ!』

『なんやっ、この紙ヒコーキだれやっ!』

『席が後ろでも先生のとこからはよう見えてるで』

『机を彫刻刀でほったヤツがおる!』

『この時間ホームルームにする。お前らで話し合え!』



僕は学校というモノがあまり好きじゃなかったが、

それでも、何かと初めて知った場所だった。

例えば。人を選ぶ経験をしたのも。

今。学級委員のかわりに政治家を選ぶことになっただけだ




来たとき通った道を戻り歩く。

中庭を通り過ぎようとして…ふと。

水道の蛇口をひねってみる。



あのとき。

部活を終えた僕らは、

今じゃ考えられないほど、がぶがぶ水道の水を飲んだ。

出る量よりも、身体が欲しがる量の方が多かった。




上に向けた蛇口から溢れ出す、あの時と同じカタチの水。

思ったより冷たい。

手のひらでうけて。




ただ指の間から流れ落ちるのを見た。





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posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 13:20| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月24日

#10終了

yuka10.jpg



日曜日

in→dependent theatre PRODUCE #10が終わった。

10日間13ステージが終わりました。



いい打上げだった。

キャストだけでも30人、

スタッフさん、ボランティアの方々も合わせると

…70人くらいは居たかな。

13日のゲストでご出演いただいた、

朝日放送“ムーブ!”の上田剛彦さんも来てくださったり。

すでに芝居仲間ノリなのがすごい嬉しいです。



数時間前まで舞台だった空間が、打上げ会場に。

客席やセットがバラされ、真っ黒のがらんとした劇場には

沢山の丸テーブル。海に乱立する小島のようにフロアをうめて。

ズラっと連結された長机はフードコーナー。

石原正一さんがクリップライトで料理を照らす。

サマーフェスの露店の前に居るようだ。

冷蔵庫にはビールやお酒がたっぷり。

薄着の人達と、大きな笑い声。やたらカンパイ。



そうか。ビーチぽいかもな。このノリ。

“海の家”で好きなように飲んでる雰囲気。

海の家って、夏の間しかないもんね。

夏が終われば、海の家も人も居なくなる。



いいね。終わりだね。

おわかれのパーティーは派手じゃなきゃね。


それでも“お祭り”の中にいると、

時々、どこか冷静になったりするんだ。

ゆっくり人を見て。

今日までだということを受け入れてく。



人がもし、クモみたいにさ。

おしりから糸を出してたら…それをずっと生きてる間

出し続けるとしたら。

人と人との接点なんて、意識しなければ

記憶さえなくなるものだけど、もし見えるものなら。

今回、一緒にやってきた人達とは

おしりの糸が何回か交差してたんだよな。


すごくヒマな神様が、僕が死んだときに

僕のお尻の糸を暇つぶしにたどっていくと、

昨日の打上げだけでも70人くらいの糸とこんがらがってる。

今日の日付のは、それがみんな別々の方向になってるはずだ。



ありがとう。


誰に何を言われても、花火の大筒を身体から離さなかった

in→dependent theatre の相内唯史氏。

脚本の山内氏、演出の横山氏。

キャスト、スタッフ、ボランティアの皆様。

宣伝にご協力いただいたマスコミ関係各社のみなさま。

日本橋のみなさま。劇場関係者のみなさま。


なにより。

お越しくださったお客様

本当にありがとうございました。


千秋楽のカーテンコールの2回目は、

13ステージの日時で、僕らとおしりの糸がこんがらがってた

すべてのお客様への思いをこめました。







pos10.jpg

写真は打上げ会場の、冷蔵庫に貼ったポスターに落書き。
英文法的にはThank you for allかも…酔ってた。許せ。
たぶん、舞台写真などは公式HPでアップされますよん。
posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 06:44| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月13日

カタマリ 〜10日前

miti.jpg



真夜中。

あと5分で家に着くという信号にさしかかる。

道は片側2車線、計4車線でそれなりに広い。

夜中でも普通信号の交差点。

横断する時には酔っててもまず右を見るもので。


と、30mほど先の暗闇に何かのカタマリが見えた。

4車線の真ん中寄りの車道に。

ちょうど街灯と街灯の間なのでよく見えない。

シルエット的には、1つは横になった自転車だろう。

その他にも、色んな物が散らばってるのが見えた。

まさか…

と思ったら、やっぱり人らしき影もあった。


ひき逃げ?か…?

にしても人がまだ居るということは

ひかれてから間がないのか…?

だいたい生きてるのか?



とにかく近づくことにした。

すると、同じ車線に数100m離れたトコから

向かってくる、幾つかのヘッドライト。


ヤバい。

真夜中に走ってる車は速い。

コレ、放っておくともう1回ひくぞ。

とりあえず、ヘッドライトの方向に走る。

倒れてる人がゆっくり動いたのが見えた。

生きてる!

『歩けるなら、歩道へあがれ!』

みたいなことを、僕はその人に叫んだ。

聞こえたらしい。

ヨロヨロと人影が歩道に向かったので

そのまま通りすぎて走る。

なんせ倒れた自転車と荷物は1車線をふさいでる。

別の事故になってしまう。

昔バイクで事故った時に、擦ってズルむけた足で立って

後続車に手を振ったこと、一瞬思い出す。



近づいて来たのは原チャリ、後ろにトラックが続いてる。

止まってくれというにはもう時間がなかった。

この先に注意しろという身振りだけで精一杯だった。

さっきの人はもう歩道にいるだろうと振り返る


!!!

こともあろうに

その人は、自転車なのか荷物なのか

“なにか”を気にして

歩道から再び、車道の真ん中にフラフラ出て来た。


『出るなっっ!』


ヤッた… と思った。

パニックブレーキの音。

急いで戻ったら、

明るすぎるヘッドライトの前に座りこんでる人。


セーフ…か…。

なぜか僕がトラックの運転手に睨まれた。

トラックが去った後、腰が抜けてる人に

『なんで出てくんねん!死ぬぞ』

と怒鳴ってしまったが、

その時やっと、その人が若い女であることがわかった。

単純に酔っぱらって

自分でこけてぶっ倒れてただけということも。


ゆっくりと立たせる。右足をかばっているが

たいしたケガはしていない様子。

歩道に移動させ、自転車と散らばった荷物も歩道に。


「すみません…すみません…」

座り込んでいるので

そのまま帰るワケにもいかず…。

大したケガもしてないから救急車呼ぶのも…ねぇ。



ぽつぽつと、女の人は喋りはじめ、

僕は帰るタイミングを失ってしまった。

それだけ酔ってたからといって

彼女は不幸話らしき話をしなかったが、

旦那を呼ぼうともしなかった。

なぜか喋り続けるだけで。


エステティシャンになりたてなこと、

昔何かのスポーツで西日本チャンピオンになったこと、

8時頃には子供を幼稚園に連れて行くこと。

話がとまる。


「お兄ちゃん、やさしいね」

「いや、たぶんやさしいとかじゃないから」


正直な返事だった。

ただ聞いてたような、別の事考えてたような気もする。



誰だってそれなりに、何か背負ってるし

けっこう、いっぱいいっぱいになってる。

眠剤でヘロヘロになったり、記憶が曖昧になったり、

薬を飲んでても夜に“何か”を責めたり、

“自分”を責めたり…。

それが僕にとって大切な人だとしても

僕はいつだって何もしてあげられなくて。

相手にとって何がやさしさになるのか、わからないし。

そんな時。…無力だなと思う。


相手が大切でなければ、どうすればいいか

だいたいわかるのに。

それは、

誰かが誰にでも配る広告ティッシュみたいなもので、

誰にでも

やさしさに似たモノを、下心と一緒に配るのはすごくカンタン。




自分にとって大切なものがなければね。



家に帰り、ビールを開けて…

たまに寝てた。冷蔵庫にもたれてた。



夜明けごろ…

ものすごい雨の音がした。








posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 03:40| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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