2007年07月13日

カタマリ 〜10日前

miti.jpg



真夜中。

あと5分で家に着くという信号にさしかかる。

道は片側2車線、計4車線でそれなりに広い。

夜中でも普通信号の交差点。

横断する時には酔っててもまず右を見るもので。


と、30mほど先の暗闇に何かのカタマリが見えた。

4車線の真ん中寄りの車道に。

ちょうど街灯と街灯の間なのでよく見えない。

シルエット的には、1つは横になった自転車だろう。

その他にも、色んな物が散らばってるのが見えた。

まさか…

と思ったら、やっぱり人らしき影もあった。


ひき逃げ?か…?

にしても人がまだ居るということは

ひかれてから間がないのか…?

だいたい生きてるのか?



とにかく近づくことにした。

すると、同じ車線に数100m離れたトコから

向かってくる、幾つかのヘッドライト。


ヤバい。

真夜中に走ってる車は速い。

コレ、放っておくともう1回ひくぞ。

とりあえず、ヘッドライトの方向に走る。

倒れてる人がゆっくり動いたのが見えた。

生きてる!

『歩けるなら、歩道へあがれ!』

みたいなことを、僕はその人に叫んだ。

聞こえたらしい。

ヨロヨロと人影が歩道に向かったので

そのまま通りすぎて走る。

なんせ倒れた自転車と荷物は1車線をふさいでる。

別の事故になってしまう。

昔バイクで事故った時に、擦ってズルむけた足で立って

後続車に手を振ったこと、一瞬思い出す。



近づいて来たのは原チャリ、後ろにトラックが続いてる。

止まってくれというにはもう時間がなかった。

この先に注意しろという身振りだけで精一杯だった。

さっきの人はもう歩道にいるだろうと振り返る


!!!

こともあろうに

その人は、自転車なのか荷物なのか

“なにか”を気にして

歩道から再び、車道の真ん中にフラフラ出て来た。


『出るなっっ!』


ヤッた… と思った。

パニックブレーキの音。

急いで戻ったら、

明るすぎるヘッドライトの前に座りこんでる人。


セーフ…か…。

なぜか僕がトラックの運転手に睨まれた。

トラックが去った後、腰が抜けてる人に

『なんで出てくんねん!死ぬぞ』

と怒鳴ってしまったが、

その時やっと、その人が若い女であることがわかった。

単純に酔っぱらって

自分でこけてぶっ倒れてただけということも。


ゆっくりと立たせる。右足をかばっているが

たいしたケガはしていない様子。

歩道に移動させ、自転車と散らばった荷物も歩道に。


「すみません…すみません…」

座り込んでいるので

そのまま帰るワケにもいかず…。

大したケガもしてないから救急車呼ぶのも…ねぇ。



ぽつぽつと、女の人は喋りはじめ、

僕は帰るタイミングを失ってしまった。

それだけ酔ってたからといって

彼女は不幸話らしき話をしなかったが、

旦那を呼ぼうともしなかった。

なぜか喋り続けるだけで。


エステティシャンになりたてなこと、

昔何かのスポーツで西日本チャンピオンになったこと、

8時頃には子供を幼稚園に連れて行くこと。

話がとまる。


「お兄ちゃん、やさしいね」

「いや、たぶんやさしいとかじゃないから」


正直な返事だった。

ただ聞いてたような、別の事考えてたような気もする。



誰だってそれなりに、何か背負ってるし

けっこう、いっぱいいっぱいになってる。

眠剤でヘロヘロになったり、記憶が曖昧になったり、

薬を飲んでても夜に“何か”を責めたり、

“自分”を責めたり…。

それが僕にとって大切な人だとしても

僕はいつだって何もしてあげられなくて。

相手にとって何がやさしさになるのか、わからないし。

そんな時。…無力だなと思う。


相手が大切でなければ、どうすればいいか

だいたいわかるのに。

それは、

誰かが誰にでも配る広告ティッシュみたいなもので、

誰にでも

やさしさに似たモノを、下心と一緒に配るのはすごくカンタン。




自分にとって大切なものがなければね。



家に帰り、ビールを開けて…

たまに寝てた。冷蔵庫にもたれてた。



夜明けごろ…

ものすごい雨の音がした。








posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 03:40| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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