2010年11月26日

はえ

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ハエを見てた。

天井に埋め込まれてる蛍光灯に

たまにちゃっ、ちゃっ…と当たりながら、

で、とまってみたり。


東京ー大阪のバス車中。

やたらにバスの話を書いてしまう

けど、まぁいいか。


僕の前の席にはガイジンさんのカップル。

彼らにとっては人目なんて気にならないのだろう、

時折、思い出したようにキスをしている。


クチュ… チュッ… 


女のほうだけ席を倒しているので、

対角線上に後ろに居る僕から、どうしても目に入る。

回数は多いが、一回一回は短いから気にならない。

真っ赤っかで、おかっぱの髪。

フィフスエレメントにこんなの出て来たような。



“席を倒すときには後ろの人に一声おかけください”

頭の真上にスピーカー。デカい音。

日本語だけのアナウンスを入れたところで、

この赤い女にはわからないだろがっ!

というのが、僕の隣に座ってる男の心の声だったろう。



通路を挟んで隣の男は

友人と話し疲れて少し前から眠っている。

寝息が個性的。


ホハーン…、ホハーン…、ホハーン…


すごく奇麗な電子音に聴こえる。

アニメーションに出てくる潜水艦の、レーダーの音。

敵艦の位置を計測するために回ってるやつね。

なんか緑っぽい光の、半球体のやつね。

この男の鼻孔から喉はどんなカタチで動いてんだろ。

意外とこの音だけは癒されたりして。リズムが一定。



ちゃっ、ちゃっ…

ハエのぶつかる音だけが耳ざわりだ。

あのハエは、どこで紛れ込んだのだろうか。

もうすでに半分を過ぎたけど。

休憩のサービスエリアで、扉が15分開いてたことに

気づかなかったのだろうか。


…まぁ、

ハエは自分がどこに居ようと気にしないか。

家に帰ろう…とかさ。

こいつは、それなりに早く飛ぶ事が出来るけど

その身体能力をはるかに超えた速度で

自分が生まれた場所から移動している事に興味がない。

仮に。

僕の降りる終点でこいつも外に出るとして。

また乗りなおさない限り、こいつはそこで暮らす事になる。


かつて居たとこから600kmもはなれた所で、

たぶん一生を終える。

分からないから気にしない。知らないから問題がない。


もし親が居て、家族が居て、友人が居て…

なんてことを考えれたのなら、気が狂う状況だろう。


“ゴメン、なんかよくわかんないけど結構遠くに来たみたい。

 空気の匂いも違うし、知ってる奴いないし。帰れそうもない”

“アンタまた、くっさい頭のおっさんについてったの!”

なんて、電話さえできないしさ。

途中下車しない方がいいよ

このバスは折り返すはずだから。

…って事も考えつかないから、たぶんコイツは降りちゃうのね。


それはそれでいいか。

東京も大阪も、発着場所は繁華街。

こいつが好きな腐った食い物にはこまらないだろう。

生きてけりゃいいんだ。

今は飽きもせず、蛍光灯にまとわりついてる。





地続きの国同士で

爆撃しあってても、自分の国が小さくなっていっても、

僕らは相変わらず蛍光灯しか見ていないのかもしれない。

気になるのはそれだけなんだ。

そやって生きてくんだよ。じゅうぶん。

というより、せいいっぱい。ぱっつんぱっつん。


上司が好きのキライの言って酒を飲み

不景気だと結婚しよかなって軽いハエが増えて、

なら中で出しちゃう?って子供を作ったはいいけど、

偽育児ノイローゼを理由に子供を廃棄する。ついでに離婚しよう。

心のつぶやきを他人に見せたい露出狂が増え、

“会いたくて”という歌詞が入った曲ばかりが流行るクセに

自分以外を愛する事はない。

遊びグセの抜けない親バエは子供を焼き殺し、

愛を理解できない子供バエは親を殴り殺し

子供たちは誰かをいじめて、大人は誰かにいじめられる。

それ以上に何を見る余裕があるんだろう。

うわ、なんかオザキユタカみたいになってきた(笑




すごいスピードで外は動いてるらしい。




もうすぐクリスマスだ。晦日だ。正月だ。

お馴染みの臭いがするゴミ箱を見つけては

そこにたかってみたりするから。

とりあえず、それがあればなんとなく大丈夫だから。





ホハーン…、ホハーン…、ホハーン…

この電子音は

何の音だろう。






posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 21:59| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月15日

クローバ

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預かってもらってた郵便物を引き取りに行く。

楽に走れるように高めに上げたバイクのサドルは

信号待ちがつらい。

手前の公園の縁石に片足をかけて…



四葉のクローバーという言葉を、ひさしぶりに思い出した。

幼稚園児のころだ


そのころは何の事だかわからない“しあわせ”になるために必要だと

信じてるのか、信じてないのか、とにかく

近くにいたであろう小さな女の子にあげたいと

ただ、いいカッコしたいだけで探したもの。


なぜだろう。

確かな記憶として

“あった!”と僕は何度も声を上げていた。

簡単ではないがいくつも見つけていた。


確かに。

そのころ住んでいた神戸市北区には

野原も、公園も、ダムも、建売住宅をがんがん造るための空き地も

いっぱいあった。

見つかったのは、それだけが理由だろうか。


僕は今、探し出せるだろうか。


クローバーが群生していても

その中に…1つだけでも見つけられるだろか。


たぶん此処にもあるだろう。 あると思うんだよ。

酸性雨に打たれ、紫外線に焦がされ、色んな物が飛び散ってる

今では、推定確立よりもはるかに“幸せを運ぶ”変異体は多いはずで。



一つ一つをつまんで、はじいて、逆の手に送って押さえて、

“探す”ことをやめない限りは続けるはずなんだけど、

すべてを見ようとするだろうか。


差し伸べた、その手の甲に押されて見えなかったものがあり、


“ここまでは無かった”と目印もつけられない場所だ、

曖昧さで逃してしまうものがあり、


少しだけ生えてる、離れたグループを見て、

あの数じゃないだろ。と、触れもしないものがあり。


一度観たはずの辺りには、絶対にない。と、

自分に言い聞かせて済ませた

“見なかった部分”があり。




あるのが前提じゃなきゃ、探せないのか。

ないかもしれないけど、探せないのか。



しあわせというものは。


風が吹いただけで見える角度は変わる

太陽が傾けば影は伸びる。


4枚目の葉っぱはそんな時に見つかるのかもしれない。




“これも四つ葉やんなー”


三枚葉のうちの、1枚の葉の裏に

小さな4枚目が生えてた。


僕はあの頃、確かに言った。






posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 06:03| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月05日

ウエノ

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関わってる自主映画の監督から

『人物像や物語について意見交換したい』という電話があり上野へ。


“少し遅れます”メールが届く。

僕は直前の用事で、長く室内に居たこともあって

喉が渇いていた。が、この場を離れるのもなんだし…と。


うっすら汗をにじませた監督は僕を見つけるなり、

『すみませんでした。コレ、飲んでください』

大人の男同士。軽いお詫び。無難な飲み物。ちょっとブレイク。

こういう時渡されるモノ、多数意見を推測するようなクイズがあったなら、

僕は“缶コーヒー!”と言うタイプだ。無難ってのを当てなきゃ。

うれしいタイミング。なんて素敵な人だろう。


…ん?


‘ウィダー印ゼリー’

水分っちゃあ水分ではあるが…。

すごい嬉しそうに差し出して…。0.5秒どうしようかと思ったが、

会うのが二度目だし、気持ちはホントうれしいし、

こういう場合、受け取らないという選択はない。

監督の育った家庭では喉が渇いたとき、

ゼリー状のものを飲むのが普通なのかもしれないし。


『ありがとうございます。お〜。コレ今飲むのもったいないな。

明日の朝ごはんにさせてもらっていいですか?』


僕が考え得る最高の返事をしたつもりだ。



監督に促されて妙にお洒落な焼肉屋さんへ…行ったが、

‘ウィダー印ゼリー’を、どうやら ‘印’ してきた監督は

食欲がなさげで、僕は一人で食う気にもならず。

話しながら呑むだけでは、でかい円形テーブルが

落ち着かない。


2杯飲んで。


ウ『上野公園行きませんか?コンビニで酒買って』

監『え?え〜。そ、そんなトコロでは…(申し訳ない)』


自腹接待?をしようとする

先方のサイフの中を無理矢理気遣ったのではない。

何度も書いてるが、僕は本当に‘外呑み’が好きなのである。

家のバルコニー、屋上、近所の川原でも

カバやカメのグロテスクな遊具がある公園も好きだ。



上野公園近くのコンビニ寄って…

そう。僕が好きな亀田製菓の‘韓国のり味うす焼’も購入。

コレ、季節限定コンビニ限定商品だそうだが

ウイスキーソーダに合い過ぎる。

去年、あまりの美味さに僕は亀田製菓に電話してしまった。

クレームかと身構えていた電話口の女性には

意味不明の賞賛トークだったであろう。

今後発売するかどうか分かりません…と聞いていたが見事復活。

どうでもいいがこのことだけは書きたかった。

韓国人の監督にも

監『これはオイシイです!』と言わしめた逸品である。

もうこれが最後くらいのタイミングじゃないか。手に入るのは。

一枚一枚が愛おしい…。来年が待ち遠しいものだ。

…だからこの話はどうでもいいのである。



西郷さんの近くのベンチで、‘呑み打ち’。

衣装候補を選抜作業したり、今回の物語、人物像、

違和感のあるシーンや、台詞について意見を聞かれたり。


もちろん雑談もある


上野公園には池がある。

『あの蓮池ってなんか怖くない?2,3人はヒト沈んでるよ』

と言ったら、

『ないでしょう』

と一言で返された。そりゃま、そうなんだろけどね。

真面目な人だ。



そろそろ解散しようかというタイミングで

近くのベンチで座ってたおじさんが話しかけてきた。



周辺はホームレスか、または

誰が横に居て、裸足で寝てても気にならない、

愛の強い?カップル。

話しかけて来たおじさんは、身なりは良く、

普通の清潔感はあった。


おじ「今日、泊まるトコあるの?」


2人「え?」


おじ「泊まるトコなかったらさ、一人ならなんとかなるよ」


監督は無視した。僕は質問の意味がよく解からなかったが


「あぁ、ウチらは泊まるトコあるよ」


何か答えた方が真意?がわかるかと。

気配が普通だったから。

ヤバそうな気配が驚くほどなかった。


おじ「いや、あるんだったらね…いいんだけど」



そのあと少し話してみたがよくわからず。


何かの中毒者にも見えず…。

ボランティアの類いでもないだろう。

僕ら2人をホームレスと間違うほど周囲は暗くはない。

し、そのおじさんが

そういう誰かを救済するような立場なら

思いっきり寝転がってる老人に声をかけるはずだ。




…後でネットで調べてみた。


どうやら“男として男が好きなおじさん”である可能性が高い。

モーホーさん。

上野公園近辺に多いらしい。


数十分前。公園に来てから

衣装候補を見せるために僕はタンクトップで

次々と脱ぎ着してたわけですよ。で、監督に見せる。

薄暗い公園で男2人がコソコソ、んなコトしてたら…変に見えるわな。

モーホーのおじさんが、

2人の男にナンパを仕掛けた…、と見るのが自然な、

とても不自然なシチュエーション。


しかし…、

「一人ならなんとかなるよ」

ってのは、ナンパにしても失礼じゃないのかね。

「どっちでもいい」ということ。

選ばれたいか?というとそれも困るが、

なんだろう。

まるで軽くフラれた気がする。


だいたいなんで上から目線なんだ。


だ〜れが、てめーなんかにっ、


俺の、誠心誠意のセックス、やってやるかってんだよー(in東京)

オッサンは絶対受け身のほうだ。ぜったい。

おぅ、なんだったら、このウイダー印ゼリー…





しばらくどっか旅に出た方がいい精神状態かもしれない。





posted by 宇野伸茂 宇野正剛 at 22:34| 大阪 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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